« 2009年11月 | トップページ | 2010年1月 »
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の、校正前の原稿から。
出版物とは記述に違いがある。ボツ原稿も含むかもしれない。
また、ブログ掲載にあたり添削・加筆した部分もある。
写真は仕掛屋定吉が、手元の現物を撮影し直した。
それらの点で、完全な再録でないことを、ご容赦ください。
p.30 囲み記事 モザイク模様の秘密‐小寄木(こよせぎ)
二宮義之氏の「五枚練り市松」の小寄木と膠紐
秘密箱に限らず、小抽斗(こひきだし)や家具など「箱根細工」と呼ばれるものの多くは、表面に施されたモザイク模様が特徴。その模様を良く見ると、小さい木片を隙間なく貼り付けているようにも見える。模様の作り方の秘密を、「伝承造秘密箱」に使われている模様を例に説明しよう。
二宮義之氏の「五枚練り市松」は、写真のように、色の違う木の角棒を5×5のモザイク状にまとめ、それをさらに2×2にまとめたものを使う。このようにモザイク模様の素材となったものを「小寄木」(こよせぎ)と呼ぶ。小寄木をさらにいくつか合体したものが「種板」、それを鉋(かんな)で薄板に削り、箱などの作品に張るわけである。
整った模様ができるかどうかは、小寄木の精度で決まる。素材の寸法精度は当然のこと、接着するときに用いる「膠紐」(にかわひも)など周辺の道具・工具の用法もまた、美しい模様を実現するために必要なノウハウである。
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の原稿フォルダから。
p.68-69 「考え方ガイド」の「ほどくパズル」。
画像をクリックすると、拡大表示します。
例題は、これとだいたい同じ。
トポロリガミ「手紙のパズル」Akio Yamamoto, 1996
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の原稿フォルダから。
p.68-69 「考え方ガイド」の「はずして組むパズル」。
例題は、いわいまさか氏の名作「ホチキス立方体」。
画像をクリックすると、拡大表示します。
しっかりと組めて、重量感もある。
そういう魅力を誌面に書きそびれたのが、とても残念。
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の原稿フォルダから。
p.68-69 「考え方ガイド」の「組み合わせパズル」。
例題は、ふたつとも定吉作。
まあ例題1のような問題は、誰でも思いつくだろうけれど。
画像をクリックすると、拡大表示します。
ちょっとだけくやしい話なのだけれど
例題2に似た、しかしもっと洗練された製品が、
2009年に日本のメーカーから発売されている。
その製品の作者名を見て、
「あー、やっぱりなぁ。脱帽だな」と思った。
その作者による、ちょっと似た感じのパズルは、
「Russian Puzzle」の名で、ネット上で紹介されている。
http://www.grand-illusions.com/articles/russian_puzzle/
ピースの回転は、[Shift key]+クリック。
「考え方ガイド」ふうに言うなら、
“完成状態の全体イメージを持とう”がヒント。
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の、校正前の原稿から。
出版物とは記述に違いがある。ボツ原稿も含むかもしれない。
また、ブログ掲載にあたり添削・加筆した部分もある。
それらの点、平にご容赦ください。
p.86 「不思議な現象」のページの囲み記事。
画像をクリックすると、拡大表示します。
錯視図形「カニッツァの三角形」
この図から、何が見えるだろう?
白い三角形が上に乗っているように見えないだろうか。人間の目が、描かれていない輪郭線を補って、三角形に解釈しているのだ、といわれる図形である。1955年にイタリアのカニッツァが発表し、以後「カニッツァの三角形」と呼ばれている。
マンガやイラストなどでは、主に人物の顔が輪郭線を省略して描かれる場合がある。それらのなかにも、この「カニッツァの三角形」のように、描かれていない輪郭線を我々自身が補って見ているものがある。「没骨描法」(もっこつびょうほう)と呼ばれる、線ではなく面で描く技法の水墨画でも、描かれなかった輪郭が見える絵が多く存在する。
左右の人物イラストも、没骨描法で描いてある。輪郭線が描かれていないことが、おわかりいただけるだろうか。
「パズル個展」では、いただきものも多かった。
本当にありがとうございます。
次回はどうか手ぶらでおいでくださいませ。
「1+1=3」という名のワインのコルク。
画像をクリックすると、拡大表示します。
華やかな香りのスパークリングワイン。
U mes U fan TRES
個展終了間際の、スタッフを交えた乾杯に、いただいた。
Aさま、ありがとうございます。
ピニョル家+エステーベ家の相乗効果、美味でした!
「仕掛屋定吉パズル個展」は、終了。
会場で支えてくださったスタッフを、感謝を込めて紹介する。
会場の喫茶店「松風窓」の、現在のオーナーは、
剱舞の舞台人。
|| 桜月流美剱道 | O-Getsu Ryu. ||
ブログでもご紹介いただいた。
桜月流 神谷美保子 声咲く:仕掛屋定吉パズル個展 in 松風窓
接客スタッフも、この剱舞の人々。
立ち居振る舞いの美しさと華やかさが、
パズル空間を明るくしてくれた。
「仕掛屋定吉パズル個展」五日目。
先日の「パズる会2009」のトークテーマのひとつに、
こんなのがあった。
「綿棒で菱形十二面体が組めるか?」
組めないだろう、という雰囲気でトークショーは終わった。
しかし、Fukushoma さんが「できたよ」と。
参考URL;「パズる会2009」トークショー後日談
そして、パズル個展五日目の今日。
「菱形三十面体も組めたよ」と、会場に持参してくださった。
画像をクリックすると、拡大表示します。
綿棒菱形三十面体は、内部空間も美しい。
この綿棒多面体は、パズル個展最終日の13日まで、
会場に展示させてもらうことにした。
「仕掛屋定吉パズル個展」二日目。
今日も、お客様の切れ目が無かった。
会話の切れ目も、無かった。
画像をクリックすると、拡大表示します。
写真はパズル作家の武井大輔さん。
http://www.puzlife.com
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の、校正前の原稿から。
出版物とは記述に違いがある。ボツ原稿も含むかもしれない。
それらの点、平にご容赦ください。
p.65「九連環」のページの囲み記事の図。
画像をクリックすると、拡大表示します。
「環が増えると飛躍的に手数が増える!」
この図はいずれも、太い線で表されたひもを、本体からはずせというパズルである。左の図の場合は一目瞭然であろう。では、中央の図では?少し悩んでも、なんとか頭の中で解けるだろう。
では、右の図の場合は?こうなると、頭の中で解くのは難しくなってくる。
この右の図が、環が3個の場合の九連環に相当する。たったの3個で、このややこしさである。9個の場合の手数の多さは、かなりのものである。
本書の執筆陣の一人が実際に九連環を解いて戻すタイムトライアルをおこなった。はずすのに70分、戻すのに120分であった。「戻している途中で頭が混乱し、またはずそうとしていた」とのことであった。
※2009年12月7日注記
“本書の執筆陣の一人”というのは、私。
この文章を執筆したのも、私。
こういう自作自演的表現は、ほかにもたくさんある。
p.s.12月8日から、パズル個展。皆様ご来店お待ちしています。
http://shikake-ya.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/091208-13-935c.html
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の、校正前の原稿から。
出版物とは記述に違いがある。ボツ原稿も含むかもしれない。
それらの点、平にご容赦ください。
p.64「新世代のスライドパズル」の説明用の図。
画像をクリックすると、拡大表示します。
「新世代のスライドパズル 秘密はピースの形にある」
Iwahiro作品「五角形アウト」「長方形アウト」に見られる軌跡の魅力は、精緻な幾何学の計算に基くものである。その動きをここで示すことはできないが、大胆に単純化した類例を図に示した。
スライドパズルには「不可能配置」が存在することを59ページで説明した。しかし、隙間をぎりぎりすり抜けるようピース形状を設計すると、この図のような動きで不可能配置からでもピースの入れ替えが可能になる。
これは極端に単純化した例ではあるが、このような動きを設計に盛り込むことで、パズルの分類を超えた新しい作品が生まれる場合があるのだ。
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の原稿から。
校正前のもので、出版された物とは記述に違いがあると思う。
図版を手がかりに拾い出しているので、紹介の順番がバラバラ。
そのあたり、ご容赦ください。
p.55「C環のパリティ」の説明用の図。
画像をクリックすると、拡大表示します。
C環のパリティ
2つの輪が鎖のようにつながっている場合、その組み合わせ方にはこのように2通りある。この2つは、そのままでは他方に移れない。一般的なC環の鎖の場合、はずしてつなぎなおす必要がある。これは「パリティ」(偶奇性)と呼ばれる性質の一種である。
「キャスト キーリング」をはじめいくつかのキャストパズルでは、はずすことなくパリティを変えることを実現している。
一般的な「パリティ」の意味は広い。メカニカルパズルに限定してもその応用例は広く、たとえば19ページの「畳敷き問題」の例も、パリティで説明されるものである。
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の原稿から。
校正前の原稿。
p.36「抜け勾配」の説明用の図。
画像をクリックすると、拡大表示します。
「抜け勾配(こうばい)とは?」
同じものを大量につくる技術の代表的なものに、「型」(かた)、特に金属製の「金型」(かながた)がある。身近なところでは「たこ焼き器」や「鯛焼き器」も金型の一種である。
金型は、単に製品の形になっていれば良いわけではない。単純な話、その金型から製品が取り出せる形でないと、意味がないのだ。
金型から製品をうまく取り出すためには、「抜け勾配」(ぬけこうばい)の設計が不可欠である。デザートのプリンの形を思い浮かべていただけると良いだろう。側面に傾斜の付いたあの形は、プリンが立ちやすいためだけでなく、型から抜き出しやすい形でもあるのだ。
立体のパズルでよく使われる立方体や直方体は、この抜け勾配が取りにくい。垂直な側面を密着させたまま金型から抜くのは摩擦抵抗が大きく困難である。
『Theメカニカルパズル130』(絶版)の原稿から。
校正前の原稿。
p.31「三つ編みこんにゃく」の図解。
画像をクリックすると、拡大表示します。
ねじりこんにゃく? いいえ、三つ編みです!
両端が繋がったまま編む革の三つ編みは、「トリック・ブレイド」の名でも知られる古典パズルである。その不思議な編み方を使って、「三つ編みこんにゃく」を作ってみよう。
一見したところ、煮物に使われる「ねじりこんにゃく」に似ている。しかし三本がしっかり編まれたその形は、見た目はもちろん、食感もかなり違う。味が染みやすく、また、口の中でほどける躍動感が味わえる。調理方法は、普通に煮ても良く、刺身こんにゃくで作っても面白い。
この「三つ編みこんにゃく」の編みかたは、煮物の「ねじりこんにゃく」よりもずっとややこしい手順で編む。左に図解を示す。
二番目・四番目の図の矢印は、こんにゃくの右端をくぐらせる位置を示している。四番目の図では編み込む部分が短いため、注意深くくぐらせないと切れてしまうから要注意。馴れないうちは、こんにゃくをもっと細長く切って編んでみて、手順をよく理解しよう。
「三つ編みこんにゃく」
編むのに苦労したとしても、食べるのは一瞬。だからこそ贅沢な「食べるパズル」。
Amazonを見ると『Theメカニカルパズル130』は絶版の様子。
他のパズル資料と同様に、入手困難になることが予想される。
高木茂男氏の著書「パズル遊びへの招待」オンライン版の
先例にならい、私の書いた文や絵を、順不同で公開してみる。
校正前の原稿なので、出版物とは文言が違うかもしれない。
p.41「サラダスティック六本組木」の図解の下絵。
画像をクリックすると、拡大表示します。
サラダスティックの六本組木を食べよう!
34ページに紹介した六本組木は、自作しても楽しい。精度の良い木工は難しいが、台所にある道具と食材で、「はずして組むパズル」のエッセンスを楽しむことができるのだ。ここでは大根・きゅうり・ニンジンを使った、「サラダスティック六本組木」を紹介しよう。
大根・きゅうり・ニンジンの切り方は、右の図の通り。にんじんは軽くレンジでチンしておくと、加工が楽になり、また食べやすくなる。それぞれの寸法は、最初にきゅうりの太さを決め、他の食材はそれに合わせて切ると良い。切れ込みの幅もまた、最初に決めたきゅうりの幅に合わせる。ピース両端の長さは六本組木を組んでから調節するのが良いだろう。切りくずも貴重な食材。スープなどに流用しよう。包丁を使うときは、くれぐれも怪我をしないように。
34ページでは「単位」で組木を考えることを説明した。この六本組木の各ピースは、包丁で作りやすいことを最優先して設計してある。そのため、組み上がったときの内部に4単位の空間が空く。上級者にはこの内部空間がゼロになるよう設計を変更し、野菜を切ってみていただきたい。
高野豆腐の三本組木は理論的には不可能物体!
「高野豆腐の三本組木」の構成は、三本ともに左の図の形。作り方は、乾燥した状態の高野豆腐を湯で戻し、冷まして絞ってから加工。組んでから蕎麦つゆ等を含ませると、少し膨張して形が安定する。当然、味も付いて食べやすくなる。
この三本組木、高野豆腐だからこそ組むことができる。変形しない素材で作った場合、内部空間には重複がなく理論的には組めるはずなのに、組んでいくプロセスが存在しない。逆に言えば、硬い素材でできたこの構成の三本組木が存在したなら、それは84ページで紹介する「不可能物体」になるのだ。
ピース構成の違う三本組木はいくつか存在する。部分的には三本組木の形状を持つものとして、32ページの「赤玉入り」などがある。
最近のコメント